クラシックカー好きの春

　春がやってきました。待ち望んだ季節の到来に気持ちも、クルマもうれしそうです。冬の間走れなかった大好きなワインディングロードに、冬眠していたdinoを駆り出して、午前中思い切り楽しむぞ！と思い、天気予報を見てみました。なんと3月なのに気温は20度！

　五月上旬の天気になるとの予報。これは早速行動しないと面白くないぞ！と思い、時間をみるとなんと夜の0時…ふ～む、頑張って起きようと目覚ましを4時にセット。あわよくばdinoとご来光と富士山の3点セットを写真に収めるつもりなのです。カメラは仕事用で手に入れたCANON EOSのとっても高いやつでいこうと思ったんだけど、それは難しいのでアマチュア用一眼レフで我慢…というか、十分。ではおやすみなさい。

　やっちまったぁ！気がついたら7時でご来光どころか、大嫌いな渋滞の時間帯でした。ならばと計画変更。普段都内の渋滞にハマっている場所を、気持ちよく駆け抜けることで、ストレス解消だ！まずはガレージでエンジン始動。2ヶ月ぶりにかけるエンジンは、最初はグズったものの、3回目のトライでブスブスではあるものの、とりあえず回りだした。

　本当はここでしばらく温めたいところだが、ご近所の手前そろそろぉっと低回転を保ちつつ、家から離れる。こういう環境だから、サイドマフラーのスーパー7は手放したのですよ（笑）。コブラも一生買えないね

　dinoは競技車ではないので、オートバイくらいの音量だが、休日の朝7時には迷惑レベルになってしまう。ここで大事なのがエンジンとミッション・オイル。どんなオイルでも適温であればそこそこ潤滑するだろうけど、冷えているときは別の話。回りずらそうだったり、音が出るなんてのはもってのほか。Gulfのレトロは冷えているところからエンジンがスムースに回る気がするので、一度使ってみてください。

　とはいうものの、いきなり回すわけにはいかないので、エンジン回転を3000回転までに留め、大通りを避け商店街をゆっくり静かに進む。オイルは少しづつではあるが、温まってエンジンの中身やミッションの隅々を潤滑し始める。古いエンジンは今のメカニズムと違い、金属の膨張に対してシビアに反応する。要するに冷たいときは金属同士の大きさが合わずに、お互いを減らしあうのだ。そこで頼れるのがいいオイルってわけ。

　さらに書けば、いいオイルって言っても最新の化学合成オイルってわけじゃない。そういう化学合成オイルは、熱に強くよく潤滑してエンジンの中身の回転抵抗を軽減する…最近の高性能スポーツカーには最適だが、dinoは70年代のクルマ。

　手作りパーツを組み合わせた当時のエンジンが載っている…ということで、パーツごとのクリアランスがバラバラで、分子レベルの細かく揃ったユルユルの最新オイルでは、エンジンの上から全部抜けて下に溜まっちゃったり、ヒドイ時は各部から漏れ出したりしちゃうのだ！

　以前、知識がなかった西沢は、新型ポルシェの友人が薦める化学合成オイルを使ってしまい、dinoのエンジンをかけるたびに、ヘッド部分にあるべき、オイルの粘膜が流れてしまっていて、オイルが全体に回るまでガチャガチャ激しい摩擦音をさせてしまったことがある。その点レトロは鉱物オイルという、昔のままのオイルなので、1か月ほどエンジンをかけていなくても、エンジンのヘッド部分にきちんと残っているので、安心…これがないと始動後すぐに走るのは無理だ。

　さて、少し温まったら、もうちょっと踏んでみよう。それはまるでおっさんが日曜日にランニングし始めるときのようだ。足首、ひざ、腰の間接が少しづつやわらかくなる感じ…そして前が開けた時にペダルを奥まで踏んでみるのだ。

　dinoは覚醒し、四方八方に野太いサウンドを撒き散らしながら、空いた日曜日の早朝の銀座通りを突っ走る。これは気持ちいいぞ！誰もいない官庁街を抜け、東京駅を抜け、ブランド店舗が並ぶ石畳の道で一旦撮影タイム！そして、皇居ランナーに注目されながら、六本木まで戻りスタバでコーヒーを買う。

　クルマを眺めながらコーヒーを飲むとき、高いおもちゃだが、このためにまたがんばって働こう！って思うんだよね。