ようやく冬が終わり、いい季節になってきましたね。あなたが冬の間、ガレージにしまいっ放しだった大事な旧車を引っ張り出して、風を切って走る…その時、所有した喜びとクルマへの愛着を再び感じることでしょう。
今でこそレースばかりやっているピストン西沢も、その昔はクラシックカーマニアで、古いクルマを一辺に2台所有していることもありました。72年型アルファロメオ・ジュリア2000GTVと、78年のスーパーセブンで、そんなに手がかからないいいクルマでしたが、やはり面倒見きれずにスーパーセブンは不動車にしてしまいました。
その後、20年前に長年欲しかった念願のdinoを買って、それは今でも持ってるし、最近レストアも完成したばかりでピカピカです。今年は沢山乗ろうと思っているので、まずは洗車して、オイル交換をして、どこかに行く準備までしてしまいましょう。
旧車の洗車は気を使います。そもそも水に対して無防備で、水嫌いだからです。それはまるでお風呂嫌いの大きな犬を何とか洗うことにも似ています。ここで神経使って、必要以上に水浸しにしてしまうと、後々錆が出たり、電装品に不具合が出たりして、えらく面倒なことになるので、気をつけます。
ここで紹介するのは、長年クラシック・カーの洗車やってきて、最近やっとこさ気が付いたのが、ドア周りとか、水が入って欲しくないところへのシーリング。この場合はビニールテープで十分です。ドアの内側に水が入ると、いつまでも乾かないうえ、ボディ下回りに水が溜まり、錆、腐りの原因となります…お~こわ。
なので、テープで隙間を塞いで、水が入らないようにするのです。これはシンプルで効果的ですよ!反対に塗装面には水をたんまりかけます。水で埃やゴミを流し、上からこすっても傷がつかないようにします。何回もかけては時間をおき、また水をかけるという行為で、ボディ表面はツルツルになってきました。
次にきれいな布で汚れを擦るわけですが、この布が大事。西沢はシリコン繊維の柔らかいものを使います。ゴワゴワの雑巾なんて、あっというまに拭き傷だらけになるので、絶対に使えません。ホースで水を掛けながら、優しくボディをなぞるとき、dinoの曲線豊かなシルエットを味わえて、洗車は仕事ではなく、喜びとなるのです。
一通り洗ったら次は、シリコン繊維の布でふき取りです。ここで水を残したまま乾かすと、水垢になりせっかくの洗車が逆効果になります。特にメッキ部分はしつこく拭きあげます。また、水滴がついたまま太陽光にさらされると、レンズ効果で塗装にシミが出来るし、水垢になりやすいので、洗車するなら薄曇りの日がベストです。
さてさて、ようやく洗車が終わりました。次は待望のオイル交換です。オイルは3年前にレストア途中でエンジンをメンテナンスした時に入れたものが入りっぱなしです。距離も走ってないし、変えなくてもいいかな?と思いがちですが、そんなことはありません。
夏の高い油温を何度も経験してるし、なにより8年ほどエンジンを掛けてなかったので、内部にはスラッジがたくさんコビリついていることでしょう。エンジンの熱でそいつらがオイルにたっぷり溶けて、ドロドロになっているはずです。
今回使うオイルは、色々なオイルが揃うGULFのラインアップの中から「ガルフブレイズレトロシリーズ」の 20W-60。このオイルは所謂鉱物油というもので、旧車用に開発された安心スペックの優秀オイルです。
現在西沢所有のレース・カーや高性能エンジン搭載車には、すべて化学合成油を使っていますが、その違いは…昔のクルマは、エンジンの中のクリアランスがマチマチでさらに大きめなので、化学合成油だと分子が小さすぎて漏れてしまいます。
実際、dinoに入れた時には、1週間後再始動した時にはエンジン・ヘッド周辺のオイルはすべて落ちており、オイルが回るまで、ガチャガチャといやな音がしていただけでなく、オイル漏れまで起こしておりました。しかし、クルマと同年代の規格で、今の技術を投入している鉱物油なら大丈夫。音や煙など、旧車オーナーが不安になる要素ががぜん減ります。
今回は夏を迎えるので、少し固めの20W-60という粘度ですが、このオイルの流動点はマイナス32.5度なので、冬場も大丈夫。夏の高温から冬の低温まで、エンジン内部をしっかり保護してくれるわけです。慣れた手つきでオイル交換も終えて、最後に確認のドライブです。今回は遠くには行きませんが、油温が十分上がるまでは近所を走ります。すると、明らかにエンジンが滑らかになり、煙も気にならない程度に減っていました。
やはりオイルの効果は絶大!ようし…今度の休みは久々に峠に走りに行ってみようかな!!
高粘度を使いたくても、シングルグレードでは冬場に使えなくなるのが困ります。そんな旧車ファンの要望に応えて新開発した鉱物油の 20W-60です。マルチグレードの中ではもっとも硬いオイルに属しますが、流動点はマイナス32.5℃ですので、真冬の使用も可能です。特に夏 場の熱ダレに悩む車にお薦めします