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植物油は古くからある潤滑油です。まだ石油産業が未発達の時代に使用されていましたので、すでに遺物化しています。主原料は「ひまし油」が多く利用 されていました。現在、植物油をベースにしたエンジンオイルを製造しているメーカーもごくわずかとなっており、商品も市場ではほとんど販売されていませ ん。
植物油は金属とたいへん「なじみやすい」性質を持っていたため、潤滑油として利用されたわけですが、反対に「腐りやすい」欠点があるため、耐久性は石油系オイルに比べてはるかに劣ります。
レースで使用した場合は、レース後直ちにオイルを抜き取り、エンジンオーバーホールを行ってオイル分を洗い流す作業が必要でした。これを怠ると、オイルが腐敗してピストンが動かないなどの現象(オイルが接着剤のように固まってしまう)が起きます。また、燃焼室などに付着するカーボン量も多く、さらにそのカーボンも固く強固に付着しますので、メンテナンス作業もたいへんです。今でも販売されているのは、2サイクルバイクやレーシングカートに使用されるレース用のオイル程度です。
さらに「植物油と鉱油」又は「植物油と合成油」をブレンドした製品もありますが、特殊用途のオイルと考えていただき、一般車にはおすすめできないオイルです。
今後のオイル技術は化学合成油を基本として飛躍的に進歩すると思われますので、やがて純植物油は姿を消す運命にあるでしょう。 ただし、最近になり「変性植物油」(腐りやすい成分を改良したもの)や「合成植物油」も素材として登場しましたので、これらの素材を使いこなす技術が確立されれば新たな「植物油」が登場するかも知れません。