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最近の車はほとんどパワーステアリングが装着されている、と言ってもけっして過言ではありません。パワーステアリングはエンジン動力による力でポンプを回し、高い油圧を発生させてステアリング機構に補助動力を伝達しています。
ところが、激しいステアリングの切り返しを行うとポンプの能力が不足して、一瞬「パワー無し」の状態が発生してしまいます。
さらに、このような動きが連続で行われるとパワステオイルの温度が異常に上昇し、粘度低下を起こすばかりでなく、激しい泡立ち が起きてしまいます。オイルの中に泡があると圧力が奪われ動力伝達がスムースに行われなくなってしまいます。これは、ブレーキ系で発生する「ベーパーロッ ク」と同じです。市販車ベースで行われるジムカーナなどでは、しばしば起こる現象です。
一般的にパワステフルードにはATFが使用されていますが、「スポーツタイプ」のパワステフルードは応答性をより向上させた品質設計をしています。具体的には下記のとおりです。
エンジンオイルにもさかんに使用されている合成油は低温時に固くならず、高温下にさらされてもオイ ルがサラサラになりにくい性質を有していますので、高性能のスポーツフルードにも使いやすい特性を持っています。熱に強ければ、パワステタンク内でオイル が「沸き立つ」ことも少なくなるはずです。
しかし、車によっては設計上冷却性能の悪い車もありますので、合成油で作られたスポーツタイプのフルードを使用しても沸き立っ てしまうことはあるのです。この場合には、パワステのポンプ付近に走行風が良く当たるように改造を施したり、パワステ系のオイルライン(金属のパイプやゴ ムホース)に断熱材を巻く、などの対策が必要です。