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高性能ギヤーオイルの中に「モリブデン」を配合したものが販売されています。また、後からモリブデンをオイルに添加する「添加剤」タイプのものもあります。
モリブデン本体は固体潤滑の役目を持った潤滑剤の一種で、極低温から高温(400゚C 程度)まで低摩擦を示し、理論上の摩擦係数は「0.04」と言われています。摩擦抵抗を減らし耐磨耗性に対しても高い性能を発揮します。
しかし、これをオイルに添加しても沈殿してしまい、期待した効果は発揮されません。そこで考え出されたのが油中に安定的に分散 させる「分散技術」。モリブデンの粒子をオイルの下に沈殿することなく安定して存在させることが可能となりました。このモリブデンを「有機モリブデン」と 呼んでいます。
そして、現代では「分散型」からより進化した「溶解型」の有機モリブデンも登場していますので、沈殿することは過去のものとなりました。
潤滑理論を紐解きますと、モリブデンの粒子がオイルとともに金属同士の触れ合う部分に入り込み、ちょうどボールベアリングのごとく「コロ」の役目を発揮します。つまり摩擦抵抗を少なくして、よりすべりを良くする効果が期待できます。
また、モリブデンは境界面に特殊な膜を生成して摩耗防止に大きな効果を発揮します。そして高い酸化防止性能も発揮しますので、 オイル交換の延長にも寄与します。モリブデン入りのギヤーオイルは以上の性能を発揮しますが、あまりにすべりが良いことで、プレート式のノンスリを利用し たデフに使用すると、ノンスリ効果が少なくなったり、フィーリングが変化するなどのデメリットが出る場合があります。
マニュアルミッションに使用する場合であれば特に心配する点はありません。走行キロも多くデフのバックラッシュが出ている車に使用して、音が消えたなどの良い例もあります。