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ノンスリップデファレンシャルは特殊な構造をしており、たいへん過酷な条件下で使用されます。
穏やかな運転や直線だけの運転なら心配ありませんが、激しいコーナリングを伴うサーキット走行やスポーツ走行時には、デフのギヤーに強いトルク(力)がか かり、あまり粘度の低いオイルではギヤーにキズが付いたり、最悪の場合は発熱を起こし焼き付いたり、破損という重大トラブルが発生します。
特に一般的な多板プレート式はプレート間の発熱も多く、オイルはデフの中でたいへん過酷に使用されます。
また、多板式 LSD は潤滑理論では矛盾の固まりです。
プレッシャープレートの間ではトルクを伝達しながら、摩耗を防止しなければならないことに加え、トルク伝達時には回転差があるため、摩擦熱が発生します。
高性能 LSD オイルを開発するにはオイルメーカーの高度な技術力が必要です。
このため、通常のギヤーオイルに使用される粘度 80W-90 より高い粘度設定を採用した「85W-140」が使用される場合が多いのです。 低温側粘度(数字にWが付いた方)の幅より高温側粘度(ハイフンでつながれた右側の数字)の増加の幅を多くしているのは、高温耐久性をより持たせるためです。
ギヤーオイルの命は「せん断安定性」といわれています。 「せん断」とは、強い力で物が引きち切られることを意味します。 最近のデフにはハイポイドギヤーが使用されていますので、せん断安定性はさらに要求されるようになりました。
以上の理由から、プレート式ノンスリップデファレンシャル装着車には指定された粘度グレードのオイル「85W-140」を使用し、80W-90 などに交換することはお奨めできません。
ここで注意しなければならないのが品質を表わす「GL-5」等の記号。
デフには常に強いトルクがかかっており、さらにノンスリが入っていればさらに条件は過酷になります。
「GL-5」より穏やかな条件で使用される「GL-4」や「GL-3」に交換するのは避けてください。