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走行距離の多い車で、一度も ATF 交換をしていない車に ATF 交換を行なうと、トラブルが出るからです。
AT 内部の構成部品に「湿式クラッチ」や「湿式ブレーキ」機構があり、シフトチェンジを自動的に行なう役目の一部を担っています。湿式とは油中で作動する方式のことです。
これらの部品の摩擦面には「アスベスト」等の素材が使用されております。
AT がシフトするたびにクラッチやブレーキが作動しており、これらの摩擦剤の摩耗粉が徐々にオイルパン底部に沈殿します。
オイルパン底部のすぐ上には ATF を吸い上げる口があり、これらのゴミを吸い上げないようにストレーナーがあります。これはエンジンオイルのフィルターと同じようなものです。
長期にわたり ATF 交換をしていない車は、このゴミがたくさん沈殿していることになります。
ATF チェンジャーは ATF を「高圧」にして「流速」も速めて ATF のレベルゲージからオイルを圧送します。ATF のレベルゲージはオイルパンの底部まで達しており、勢い良く流れ込んだ新しい ATF でゴミを舞い上がらせてしまいます。
チェンジャーを使用した ATF 交換はエンジンをかけたまま作業しますので、舞い上がったゴミは AT 内部のすべてに行き渡ってしまいます。
ゴミは油圧をコントロールするバルブに引っ掛かったり、油圧回路を詰まらせたりします。
コントロールバルブや回路が閉塞すれば、適切なシフトチェンジはできません。
「D」レンジに入れても自動シフトをしなくなる症状が出たり、最悪は走行不能となります。
したがって、ATF 交換を依頼された店がクレイム発生を逃れるためにオイル交換を断ったのです。
これを解決するには AT 機構のオイルパンをはずし、ストレーナーのクリーニングまたは交換で対応できます。この時、とうぜんオイルパン底部の清掃も行われます。 作業は一般の修理工場でもできますが、ディーラーの整備工場が一番安心です。