今回はそのレースのお話し。
まずこのクルマは、去年の2月に新車でロードスターのNRAを購入、シートや内装など要らないものをストリップダウン。4月本格的に走行を開始。テスト回数はのべ6日間。
ここで問題になったのがJAF規定のロールバーが存在しないことで、このクルマはレースのトップブランドであるキャロッセの大きなバックアップの下、モテギの車検委員会と相談しながらオリジナルのロールバーで承認を取ることができました。
ここまでで実はかなりぐったり。レースカーを個人で協議申請するのってホント大変。
あともうひとつ!タイヤはN1規定の中でオリジナルサイズ採用が義務なのですが、このサイズで竸技用タイヤはありません。そこで高性能一般ストリートタイヤのブリヂストン・ポテンザRE-71Rを採用。他にも色々勝てるパーツをそろえ、最後に勿論オイルはGulf、万全を期して臨んだレースでしたが…結果は残り一周でガス欠ストップ。
原因はガソリン給油が集中する時間帯にピットに入り、そこで混雑に巻き込まれ、必要以上の時間止まってしまったこと。
アップデートの大きなポイントとして、燃料タンクをレース用大容量安全タンクに変更。これにより、レース時の給油タイミングの時間的幅が拡大し、早めの給油が出来る上、ガソリンスタンド混雑時はそのまま空くまでコースに留まることが可能になりました。でもびっくりしたのはこの副産物として大幅な重量バランスの変化があり、車輌はまるでミッドシップ・カーの様なクイックかつ、アクセルを踏むと後輪にトラクションが良くかかるようになっってびっくり。
さらに2WAYダンパー、幅広ホイールのおかげで1周当たりのラップタイムは1秒弱短縮。ここまで5回のテストをこなし、ライバルチームも多くがピットに偵察に来る期待がかかる状況になり、一安心。いやほんと!レースってお金も時間もかかって大変。
その仕様で直前金曜日の走行を順調に走り 走行後に念のためミッション、クラッチ、デフを新品に交換し、万全の態勢でレースに臨みます。
ここでポイントになるのがオイル。日常で使うオイルは価格や耐久性重視ですが、レースで使うものは高温でも潤滑性能が落ちないものでないと、ギアの歯が欠けたり、下手をすると熱でケース自体が変形するような事もあるんです。そこで使うのがガルフの競技用オイル。こういう極限下で使える性能を作る技術があるブランドこそ、信頼すべきですよね。
予選は朝から雨で、朝のフリー走行で足回りのセットアップ変更をしようとした時、大トラブル発生。前日ミッションを交換した時、エンジンを下したんですが、それからトラクション・コントロールが切れなくなり、調べてみると配線を間違えていたようです。
それだけならよかったんですが、走るとパワー感は軽自動車並みに減少。大事なフリー走行は全く走れずトラブル対策に追われます。そのまま原因不明でAドライバーの西沢が予選コースイン。いつもは4速で走るS字コーナーを2速で走るスピードしか出ず、出走84台中83位と惨憺たる結果に終わりました。
Bドライバーの高橋の時にはトラブルも解決しましたが、総合で85台中75位となり、優勝候補のライバルとは最初から3分ほどのハンデができてしまいまいました。しかしレースは7時間あるので気を緩めず全力で臨みます。
翌決勝日も曇りで午後は雨の予想。まずスタートはピストン西沢が乗り込み
順調に順位を戻していきます。
鬼門の給油もガソリンタンクの大容量化のおかげで早めのピットインで無事通過。その後富澤、高橋につなぎ、順調にトップ争いをしますが、どうも燃費が悪いようです。
この車輌はNRAという競技ベース車ですが、この車は瞬間燃費などインジェクターの情報を出力していないので、走っている間ドライバーにはその燃費がわかりません。
実際にクルマを止めて燃料を抜いて計らないとわからないのです。
この時点でのライバルは去年の優勝車のビッツと一昨年優勝の改造車クラスのS2000、 そして去年2位の改造車クラスの旧型ロードスターです。
ここまではトップ争いをしていたものの、代わった富澤選手は若干タイムを落として走行。残り1時間のところでS2000がトップに立ち、813号車は3位。その後上位2台が続けてピットイン。と同時に改造旧型ロードスター(2000CCエンジン搭載)に抜かれ、3位に後退しました。 残りあと2周というところで、いよいよ計算上のガソリン切れとなりさらにペースダウン。最後の周にシビックに抜かれ4位まで落ち、そのままの順位でゴール!
結果は総合4位のクラス3優勝となりました。その差は僅差で予選のトラブルさえなければと…一言でいえば悔しい!ですが、全く歯が立たなかったわけでも自分たちがミスをしたわけでもなく、機械を使う競技が絶対に抱える、一つの側面に翻弄されたのは確かです。
だからこそオイルなど、機械の性能を出し切るために必要なものは、とことんこだわるべきだと改めて感じさせられたレースでしたね。
この車輌はこの後関東マツダの「高田馬場」店でしばらく展示されます。シートに座るのも写真撮るのもご自由ですから、是非ともお店に行ってみてくださいね。
来年もがんばります!応援よろしくお願いします。
ピストン西沢